成長に伴うノンコア業務の肥大化とRPA導入の決め手
まず、事業内容とRPA導入前の課題についてお聞かせください。また、数あるシステムの中でロボオペレータ(RPA)を選択された理由は何だったのでしょうか。
(前川様)
弊グループはマーケティングサービスを展開し、おかげさまで順調に成長を続けています。一方で、その成長に伴い、経理財務部としての業務量も増大していきました。
特に課題だったのは、「ノンコア業務」と呼ばれる、誰でもできるルーティン業務の比重が高くなっていたことです。具体的には、毎日必ず1時間は要するExcelの更新作業などがあり、正直、メンバーにとっては「ボタンを押すだけ」の作業が多く、大変な負担となっていました。
私たちは以前から、優秀な人材をコア業務(リスク対応や事業成長のための分析など)に充て、ノンコア業務はAIやシステムで自動化したいと考えていました。
その手段としてRPAを選んだのは、従来のシステム開発における課題を解決できると感じたからです。これまでのシステム化では、私たち会計側の専門用語や意図がシステム担当者に伝わりにくく、ベンダーに要件が正確に伝わるまでに二度手間、三度手間になり、結果的に時間とコストがかかりすぎて停滞しがちでした。
しかしロボオペレータは、プログラミング知識がなくても扱える分かりやすいインターフェースで、自分たちの手で直接ロボットを作成し、運用できる点が非常に魅力的でした。また、コスト面でも導入しやすく、これなら多くのロボットを自作できると考えたのも決め手です。
停滞を乗り越え、月160時間削減目標を実現した「ロボ会」
トライアルから正式導入後、社内での展開はどのように進められましたか。また、その過程で、ロボット作成が停滞した時期をどのように乗り越え、目標達成につなげたのでしょうか。
(前川様)
最初は私一人がライセンスを持ち、Excel更新作業を自動化して「就業後でも自動でこれができるんだよ」とメンバーに見せたのがきっかけです。そこから、経理財務部内の約10名で展開を進めていきました。
展開初期から、皆で「こういう課題もある」「この業務をなくしたい」と意見や改善案を出し合い、毎週、課題をロボット化するか、業務自体をなくすかの振り分け作業を行っていました。
1年目の目標値としては、「一人分の作業時間を削減する」、つまり月160時間の削減を目指しました。結果として、去年は160時間を超える削減ができ、無事目標を達成できました。
しかし、今年の前半は一度停滞してしまったんです。「ロボットを作りたい」という意識はあっても、日常業務に戻ると、なかなかそのための時間を取れない日々が続いていました。そこで、PKSHAさんのカスタマーサクセス担当者様のアドバイスを受け、現在は「ロボ会」という時間を設けています。
「ロボ会」は、毎週1時間を業務から離れ、「ロボットを作るためだけに考える時間」にしています。この時間だけは強制的に手を動かし、課題に取り組みます。このメリハリをつけたことでメンバーの意識が集中し、再びロボット作成が活発になりました。
おかげさまで、今年の目標も達成できそうなペースです。
業務時間削減だけではない!トラブル撲滅と精神的余裕の獲得
特に時間削減に効果的だったロボットがあれば、具体的な事例をお聞かせください。
(土屋様)
私が作成したロボットで効果的だったのは、Excelの「月次分析資料」の作成ロボットです。これまでは元データの取得から集計、複数の勘定科目ごとでの前月比や増減率などをまとめた資料の作成まで、手動で約2時間かかっていました。これをロボット化したことで、月1時間半の業務時間の削減につながりました。
(高塚様)
私が作ったのは、倉庫会社に送る「在庫廃棄指示資料」の作成ロボットです。毎月、複数のExcelを組み合わせて手動で作成しており、2時間ほどかかっていました。
過去に手動で資料を作成している際、貼り付ける行が一行ずれてしまうミスで、本来捨てるべきではない商品まで廃棄指示をしてしまうというトラブルが起きてしまいました。金銭的な損害だけでなく、各方面へ迷惑をかけてしまい、同じミスを絶対に防ぎたいという強い思いから、このロボットを作成しました。
ロボット化によって、作成時間は2時間から30分に短縮できました。さらに良かったことは、ロボットが正確に資料を作成してくれることで、これまで資料作成で消耗していた集中力や体力を、最終的な「確認」の時間にしっかり充てられるようになったことです。結果的に資料の精度が上がり、大きなトラブルを未然に防ぐことができました。これは時間削減以上の大きな効果だと感じています。
DXに悩む企業へ:「難しく考えずに、小さな一歩から」
最後に、これからロボオペレータやDXを検討している企業へ、メッセージをお願いします。
(前川様)
あまり難しく考えない方がいいと思います。DXやシステムというと、大掛かりなものを想像しがちですが、ロボオペレータは、高額なシステム開発のように何百万円もかかる話ではありません。
「この業務、自分でやるの面倒くさいな」「誰かに代わりにやってほしいな」という、小さな不満や課題をきっかけに、「RPAでできるかも」と軽い気持ちで触ってみるのが良いと思います。小さな改善を積み重ねることが、大きな成果につながると確信しています。
(土屋様)
まずは自社における業務の課題を洗い出すことから始めましょう。漠然とDXやRPAの導入を検討するのではなく、日々の業務の中で「面倒だな」「時間がかかっているな」と感じる具体的な作業を特定することが第一歩です。小さな課題でも構いません。それらをリストアップし、どの業務が自動化によって最も効果を発揮するかを検討することで、DXの方向性が見えてきます。
(高塚様)
「DX」「RPA」といった横文字が独り歩きして、難しそうだと身構えてしまう方も多いと感じます。そんな時は、まず「どうすれば早く帰れるか」という、自分の本能に素直でポジティブな気持ちから始めるのが一番です。そこから具体的な解決策を考えていくのが良いと思います。
株式会社CLホールディングスの皆様、この度はインタビューにご対応頂き、誠にありがとうございました!