全社的なIT化推進の中、次の打ち手としてRPAに着目
まず、貴社の事業内容と、RPA導入以前の状況についてお聞かせください。
(吉田様)
私たちは、無線機やインカム、トランシーバーの販売、レンタル、リース、中古流通を行っている会社です。
DX化、IT化については2010年代から積極的に進めてきました。営業支援システムなども含め、ほとんどのシステムをフルスクラッチで開発し、Webサイトもデータベースの部分からコンサルティング会社と一緒に構築するなど、IT活用への意識は高い会社だったと自負しています。
「ワンクリックで業務を全て終わらせる」ことを目標にシステムを運用していましたが、AIやRPAの活用というピースが抜けている状態でした。RPAが流行り始めた2019年頃から展示会などで情報を集め、どうすれば自社の業務に活用できるか研究を続けていました。
信頼と実績で「ロボオペレータ」を選択
様々なRPAツールがある中で、「ロボオペレータ」を選ばれた決め手は何だったのでしょうか。
(吉田様)
ちょうどRPAの活用を模索していたタイミングで、顧問から「非常に秀逸なRPAがある」とロボオペレータを紹介いただき、人の業務をロボットに変えていく流れができるのではないかと考えました。
実際に話を聞いてみると、私たちのRPAに対する解像度と同じ目線で話ができ、具体的な業務に落とし込むイメージが湧いたのが大きかったですね。
もちろん、他社のRPAも比較検討しましたが、保守体制や金額、利便性、アフターフォローの体制などを総合的に比較すると、PKSHAさんのロボオペレータが最も優れていると感じました。
人員増の危機にあった免許申請管理業務をRPAで効率化。パート1名分の工数削減を実現
導入後、まず免許申請管理業務から活用を開始されたと伺いました。具体的な業務内容と、導入後の効果について教えてください。
(吉田様)
無線機の利用には免許申請が必要なのですが、私たちは行政書士事務所にて申請された内容を管理する業務を行っています。この業務は、社内でも特に業務量が逼迫していました。RPA導入前は3名体制で対応しており、年間1,000件以上を処理するため、常に「間に合わない」という状況で、パートをもう1人増やすかどうかの瀬戸際だったのです。
売上向上と同時に固定費が増えるのは経営的によくないモデルです。そこで、まずはこの免許申請業務にRPAを導入し、現状のメンバーだけで業務が回る体制を目指すところからスタートしました。
結果として、32体のロボットがこの業務を担ってくれるようになりました。処理件数は増えましたが、ロボットの導入により増員する必要がなくなったため、現在も同じ体制で、以前よりもスムーズに業務が回っています。
時間での厳密な効果測定はしていませんが、担当者からは「ロボットがなかったら、もう業務は回らない」という声が上がっています。導入当初は「本当に自動化できるのか」と懐疑的だった現場も、今では「なくてはならない存在」としてロボオペレータを高く評価してくれています。
全社で44体のロボットが稼働。営業、経理、バックオフィスまで活用が拡大
免許申請業務以外では、どのような業務にRPAを活用されていますか?特に効果が大きかった事例があれば教えてください。
(尾形様)
営業部門では、長期レンタル契約の台数集計や、業種別の売上・粗利集計、テレアポリストの作成などに活用しています。特にテレアポリスト作成では、これまで1時間あたり平均10件だったリスト作成が、RPA導入後は14〜15件に増えました。今まで手が回らずアプローチできていなかったお客様にもアプローチできるようになったのは、非常に大きな効果だと感じています。
また、これまで行っていなかった出荷時の送り状番号通知もRPAで自動化しました。Amazonなどと同様に、お客様へ自動でメールが送られるようになったことで、問い合わせを未然に防ぎ、顧客満足度の向上にも繋がっています。これは削減効果というより、RPAによって新たに実現できた業務改善の好例ですね。
経理部門では、メーカーからの請求書と当社の発注書の照合に活用しています。以前は、月に約40時間かけて人間が一項目ずつ照らし合わせていましたが、この作業をRPA化することで、大幅な時間削減が見込まれています。
さらに、長期レンタルプランの契約書作成もRPAで行っています。これは条件によって記載内容が変わる複雑なものですが、PKSHAさんのカスタマーサクセス担当者にも協力してもらいながら、精巧なロボットを完成させることができました。このロボット開発で得たノウハウが、他のロボット開発にも活かされています。
「なくてはならない存在」現場に浸透し、サービス品質向上にも貢献
RPA導入後の現場の皆様からの反応はいかがでしたか?
(吉田様)
免許部門からは「最初は本当に自動化できるか疑いがあったが、今では必要不可欠なものであり、なければ業務が成り立たない」という声が届いています。
営業部門では「今まては顧客のピックアップに時間を要し億劫だったことが解決した。工夫してリストを作ることで業務効率が向上した」と喜んでいます。
経理部門からは「業務効率化はもちろん、ヒューマンエラーがなくなったことが大きい」という声があり、品質向上にも繋がっていることを実感しています。
基幹システムの刷新とAI連携も見据え、さらなる業務効率化を目指す
今後の展望についてお聞かせください。
(吉田様)
現在、1年がかりで新しい基幹システムの開発を進めています。このシステムは、ロボオペレータを使うことを前提に作られており、来年からは今まで以上にロボットが動きやすい環境が整う予定です。
そして次の課題は、業務システム、基幹システム、AI、RPAをシームレスに連携させ、新たな業務効率化につなげていくことです。本当の意味でのAI活用は、AI単体では成り立ちません。RPAと組み合わせて初めて業務に落とし込むことができる。今後は、画像や動画などの読み込みも含めた、本当の意味でのAIとの連携を深めていきたいと考えています。
経営者自身の「意識改革」がDX成功の鍵
最後に、RPA導入を検討している企業へ向けてメッセージをお願いします。
(吉田様)
RPAの効果は絶大だと実感しており、他社にもその便利さを伝えているのですが、なかなか導入に踏み切れない企業が多いのが実情です。「うちはITが分からないから」と、新しいことに挑戦する前から諦めてしまっている経営者が少なくありません。
どんなに素晴らしいシステムや仕組みがあっても、トップに「やる気」がなければ活用できません。まずは、自社の業務を良くするために、効率化できることがあれば積極的に導入していくという気持ちを持つこと。経営者自身の意識改革が、何よりも大事だと思います。
また、導入初期のつまずきを乗り越えることも重要です。そのためには、PKSHAさんのサポート(コンサルティング)、そしてお互いに歩み寄る姿勢があったからです。初動をサポートしてくれるカスタマーサクセスの存在は、RPAをうまく活用するための鍵になるでしょう。まずは一歩踏み出し、PKSHAさんのようなプロフェッショナルに相談してみることをお勧めします。
株式会社エクセリの皆様、この度はインタビューにご対応頂き、誠にありがとうございました!