創業以来のテーマ「属人化の解消」
まず、御社の事業内容と、事業運営における課題についてお聞かせください。
(田中社長)
私達は、BPO/BPRの専門企業として、お客様の経理や給与計算、営業事務、カスタマーサポートといったバックオフィス業務を代行しています。最大の特徴は、業務プロセスをフローチャートマニュアルで徹底的に可視化・標準化している点です。これにより、子育て中の方など、限られた時間で働く在宅ワーカーが国内外から活躍できる体制を築いています。
そんな我々にとって、創業以来の永遠の課題が「属人化の解消」です。業務の標準化は、いわば「誰でもできる仕事=非属人化」にすること。これは、総論としては誰もが賛成しますが、いざ自分の仕事となると、誰しも潜在的に抵抗を感じるものです。自分の存在価値が揺らぐように感じるからでしょう。これは人間の性(さが)であり、常に意識して向き合わなければならない課題だと考えています。
(吉田様)
現場レベルでも、例えばクラウド会計ソフト『楽楽精算』への請求書のアップロード作業など、単純ながらも件数が多く、人手と時間を要する定型業務が多数ありました。1件1件は短時間でも、積み重なると相当な時間になり、生産性を圧迫していましたね。
必然だった「自動化」という選択
その課題に対し、なぜ「RPAの導入」へと至ったのでしょうか?
(田中社長)
「RPAに踏み切った」というよりは、常に自動化を追求してきた中での必然的な選択でした。私が社会人になった30年前から、システムをどう連携させて自動化するかは常にテーマでしたから、RPAという言葉が新しいだけで、本質は変わりません。
ただ、昔と比べて格段に進化したと感じるのは、ツールの汎用性の高さです。かつては専門のエンジニアが複雑な要件定義をして作り込むのが当たり前でしたが、ロボオペレータは、プログラミングの専門知識がない現場の人間でも扱える。この「現場が使える」という点が、導入を現実的なものにしてくれましたね。
決め手は「使いやすさ」と「未来への期待」
数あるRPAの中から「ロボオペレータ」を選ばれた決め手は何だったのでしょうか?
(田中社長)
最大の決め手は、PKSHA様との協業による事業シナジーへの期待でした。
しかし、それはもちろん、ツール自体の品質が高くなければありえません。その点、ロボオペレータは実際に使ってみて「非常に満足している」というのが結論です。特に、現場主体で扱える「使いやすさ」は素晴らしい。私達の社内でも、エンジニアではないメンバーが中心となってロボットの作成や運用を担っています。この点が、当初の期待通りで非常に高く評価しているポイントです。
工数削減と「周辺業務」での絶大な効果
実際にロボオペレータを導入してみて、どのような効果がありましたか?
(吉田様)
目に見える効果として、先ほど例に出た請求書のアップロード作業が、これまで1件あたり約60秒かかっていたところ、ロボオペレータではわずか3.6秒に短縮されました。ある案件では、月間の処理件数が多いため約18時間分の工数を削減でき、コストに換算しても月12,000円ほどのカットに繋がっています。人がやらなくてもよい単純作業をロボットが代替してくれるインパクトは非常に大きいですね!
(田中社長)
私が真の価値だと感じているのは、伝票入力のようなコア業務そのものよりもそれを支える周辺業務での効果です。例えば、部署間の連携や、工程から工程へ情報をつなぐ部分。人がやるには手間ですが、ミスが許されるわけでもない。こうした「ジョイント部分」の業務はRPAが非常に得意とするところです。
(吉田様)
各案件の進捗状況を2時間おきにチャットへ自動投稿させるロボットは、今や不可欠な存在です。以前は担当者が手動で報告していましたが、今ではロボットが正確に知らせてくれる。これにより、メンバーはPCを開く前からスマホで状況を把握し、「次はこれをやらなきゃ」「あそこが滞っているから手伝おう」といった次のアクションを事前に考えられるようになりました。この小さな変化が、チーム全体の生産性を大きく向上させています。
業務効率化以上の価値、組織に根付いた「自動化思考」
工数削減以外に、組織にもたらされた良い影響はありましたか?
(吉田様)
はい。ロボオペレータ導入を機に、社内に「自動化班」という、自動化に関する相談窓口を設置しました。その結果、「この業務、もしかして自動化できる?」という思考が、メンバーの中に当たり前に生まれるようになりました。これまでは「時間がかかっても、こうすればできる」と考えていた業務に対し、「どうすればもっと効率化できるか」という視点が加わったのです。これが何よりの副産物ですね。
(田中社長)
RPAというツールを物差しとして業務にあてることで、属人化への強力な抑止力になっています。個人のやり方に依存するのではなく、「これはロボットに任せられないか?」と一度立ち止まって考える。このプロセス自体が、業務の標準化を促進し、結果として組織全体の業務改善意識を大きく向上させていると感じます。
BPOのプロが見据えるRPAの未来
今後、ロボオペレータをどのように活用していきたいですか?
(田中社長)
現在は自社業務の自動化が中心ですが、今後は我々がお客様の業務改善を提案(BPR)する際の強力な武器として、ロボオペレータを活用していきたいです。我々が長年培ってきた業務可視化のノウハウと、現場で使えるロボオペレータを組み合わせることで、お客様の業務に深く入り込み、本質的なDXを支援できると確信しています。我々を通じてロボオペレータを導入していただくような、ビジネスパートナーとしての関係性を築いていきたいですね。
DX成功への最短ルート
最後に、DX推進に悩む他の経営者の方々へメッセージをお願いします。
(田中社長)
よく「DXを進めるには、まず業務プロセスの可視化から始めましょう」と言われます。これは正論です。しかし、可視化自体が大変で、なかなか前に進まない企業も多いのではないでしょうか。
そこで、私は逆の発想を提案したいです。
最初は生産性が上がらなくてもいいし、クオリティは問わないので、「とにかくRPAを導入して、各部署で自動化業務を一つでも作る」ということをトップダウンで号令をかけるべきです!
RPAを導入しようとすれば、現場は必ず「自分たちの業務はどうなっているのか」を詳細に把握し、説明する必要に迫られます。つまり、RPA導入に取り組むプロセスそのものが、最も効果的な業務の可視化に繋がるのです。可視化なくしてDXの成功はありえませんが、RPAはそのきっかけを作る最強のツール。ぜひ、その一歩を踏み出してほしいですね!
Mamasan&Company株式会社の皆様、この度はインタビューにご対応頂き、誠にありがとうございました!